「意識高くない系」会社員の読了日記

「挑戦よりも安定」がモットー。そんなどこにでもいる、非意識高い系会社員の日常を綴ります。主に最近読んだ本について綴ります。

「根は真面目」と「拗らせ」(【読了レポ】あおい/西加奈子)

「根は真面目だからさ」

そんなことをよく口にします。

 

こんにちは、うえぽんです。

私は、冒頭で記述した通り、「根は真面目」です。

どんな具合かというと、「出席ないから取っただけだよ~」と言い放った授業にちゃんと出席したり、「面倒だからやらないよ~」って言っていた卒業論文を結局書くことにしたり、といった具合。

 

そんな私には大好きな作家がいます。(突然)

 

西加奈子さんです。

 

今日(というか、ついさっき)、同氏のデビュー作、『あおい』を読了しました。

 

私と同氏の作品の出会いは、3年前に遡ります。大学1年生の頃、通学中に読む小説が欲しくて、なんとなく手にした作品が、西加奈子さんの『舞台』でした。

『舞台』を読んだ時(正確には、冒頭で主人公の人柄を理解した時)、「あぁ、なんだか自分みたいな人の話だな」と感じました。

その主人公は、とにかく周りの目を気にするタチで、常にどこか不自由そうでした。そんな彼が、アメリカ旅を通して自分の生き方を少しだけ考え直していく、そんなお話です。そんなお話に、「彼」みたいな性格の私は惹き込まれました。

 

その後も何作か、同氏の作品を拝読しました。そしてこの度、遅ればせながら、デビュー作である『あおい』に手を出しました。

 

この作品の主人公は『舞台』の「彼」とは似つかない、27歳の女性。「彼女」は、年下の彼氏と半同棲をしながら、周囲の人と関係を築いていきます。「バイト先のスナックのママ」とか、「書店の店員さん」とか、個性的な面々と。その中で「彼女」は現実と向き合います。他人を羨みながら、自分の行為を振り返りながら。積極的なのに消極的。「彼女」を表すには、そんな曖昧な表現がふさわしいかもしれません。そんな「彼女」のお話に、「彼女」みたいな性格の私は惹き込まれました。

 

『舞台』の「彼」と、『あおい』の「彼女」の共通点。

それは、「根は真面目」と「拗らせ」だと思います。

 

「根は真面目」だから、周囲の期待に応えたい。だから、周囲の目を誰よりも気にして行動するし、そうしているうちに、いつの間にか自分をとことん客観視して、劣等感に苛まれる。

一方で自身の期待にも応えたい。だから、劣等感に苛まれ続けると、「拗らせ」る。どうしようもない感情に襲われる。気づくと、半ば自暴自棄になっている。

でも、あとで冷静になって、「拗らせ」た時の自身の行動と、周囲の目を考えて、また、どうしようもない感情に襲われる。

そんな繰り返し。

 

俗に「根は真面目」と表現される(する)人は、「彼」と「彼女」のような、こんな感情を持っているのではないでしょうか。

少なくとも、私はそうです。

 

だから、西加奈子さんの小説が好きだし、同氏の小説に勇気づけられます。

 

『あおい』

 

また好きな小説が増えました。初めて読んだ西加奈子作品の、『舞台』には劣るけど。

「根は真面目」な人間にこそ、読んでほしい作品です。

 

それでは。

 

 

西加奈子 

#舞台

#あおい